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小学校の餅つき大会の思い出

私はお餅が大好きです。
あの柔らかな食感も、鼻から抜けるお餅の香りも。もちろん味も大好きです。
もう、うん十年も昔、私の通っていた小学校では、3学期の始業式には毎年「餅つき大会」がありました。
朝、登校すると校庭全体が霧に包まれているかのような淡い景色になっており、もち米を蒸かす香りが当たり一面に漂っています。
教室にいる私には校庭で蒸されているもち米の湯気は届かないはずでした。
しかし、それまで息を吸うたび“ツーン”と鼻を刺激していた氷のナイフのような空気が、囲炉裏端のような優しく包み込んでいるような空気に変る気がします。
すると一気に、体中がぽかぽかと温まっていく感じがするのです。
始業式が始まり校長先生の挨拶の後、いよいよ餅つき大会の始まりです。
そこで、名物おじいちゃんの登場です。
正月明けの寒い日に、ランニングウェアのランニングに短パンで、白髪の細身のおじいちゃんが1~6年生の各クラスの臼に蒸したもち米を配り始めました。
その風貌にはとても似つかない動きで、配ったもち米を子供たちが搗きやすい程度にまとまるまで練っていきます。
準備が完了すると、子供たちが各自餅を10回ずつ、ついていくのです。
そうして出来上がった餅はしっとりとつやっぽく、とはいえ所々につききれていない米粒状のでこぼこがあり、手作りの素朴な風合いを出しています。
ほんのりと湧き上がっている湯気は、餅つきをした子供たちの奮闘が伺える息切れの吐息が移ったようにも見えます。
各教室に運んだ後、お手伝いに来てくれたお母さんたちが一口大にちぎり、きなこをまぶして、子供たちに取り分けてくれました。
そのお餅は、とても柔らかく、いい香りがし、何もつけていなくてもほんのり甘いのです。
また、ほんのりと暖かく、滑らかな食感も甘さとは別の味を持っているようで、いつまでも舌に残ります。
今でもはっきりと覚えている、あのお餅の味を再現できないかと思った私は日々、料理レシピサイトをはしごするのでした。
テックキャンプ 40代